YOSHIRO広石 / YOSHIRO
~世界を驚かせた伝説の日本人ラテン歌手~
著者:YOSHIRO広石 / ページ数:420 / 発売日:2020年10月23日 / 出版社:焚書舎
/ ISBN:978-4600004774 / 税込定価\2,750
- 序章
- 終戦、そして南米へ
- 第1章
- オイルマネーに沸くベネズエラ
- 第2章
- メキシコからアメリカ
- 第3章
- 悪徳と楽園の街ティファナ
- 第4章
- ラ・メンティーラ~嘘つきのヨシロウ~
- 第5章
- 快楽の園アカプルコ
- 第6章
- 一年ぶりのカラカス
- 第7章
- コロンビア~反政府ゲリラが暗躍する中で~
- 第8章
- メキシコオリンピックの年に
- 第9章
- 差別主義者はお断り!
官能的なクラブ・ディプロマティコ - 第10章
- ブエノスアイレスにてピアソラと共演
- 第11章
- 帰国そして長期入院
- 第12章
- カリブ午前0時
- 第13章
- キスで殺して~サルサ・エロティカ~
- 第14章
- ついにキューバ本国へ
- 終章
- それぞれの存在~性的少数者の誇り~
それにしても凄い証言集が残っていたものである。60年代から中南米各地で活動し、現地でスターの座に上り詰めた日本人ラテン歌手、YOSHIRO広石が、雑誌『中南米音楽』で連載していた原稿に加筆したものだ。出版にあたっては思い出野郎Aチームのサモハンキンボーが裏方として動いたようだが、埋もれていた過去音源を復刻する感覚に近いのかもしれない。
広石が米軍キャンプで初舞台を踏んだのが57年。60年代半ばにひょんなことからベネズエラに渡ると、三波春夫ばりの着物姿でボレロを歌う姿が大受けしてスターに。アメリカではワッツ暴動の夜にたまたま居合わせ、コロンビアではルーチョ・ベルムデス楽団の演奏するクンビアに合わせて「ソーラン節」を歌い、ベネズエラのナイトクラブで豪遊し、名もなきローカル・クラブをドサ回りする。強烈なエピソードが次々に登場する一方で、三島由紀夫や浅川マキとの意外な交友関係も明らかにされる。
本書の中心となるのは、中南米世界の政治経済が激変した80~70年代。ネットはおろか、スペイン語でも残されていないだろうローカルな音楽・大衆芸能に関する情報が丹念に記録されている。ミュージシャンや関係者との会話は実に生き生きとしていて、広石の文体も軽妙洒脱。的確な注釈もあり、ラテン音楽に馴染みがない方でも楽に読み進めることができるだろう。
重要なのは今回の出版にあたって加筆された8年代以降のエピソード。自身も性的マイノリティーである広石が語る「自由」と「平等」に関するメッセージには説得力があり、単なる回顧録を超えたリアリティーがある。
国内外のラテン文化に関する一級品の資料集。一種のノンフィクションとしても紛れもない傑作である。
大石 始
YOSHIRO広石 / GRIT DE VERDAD ~真実を叫ぶ~
COOL&SENSUAL LATIN FROM JAPAN
(DML-190228) 税込定価\2,500 / 2019年
- 01.
- VEREDA TROPICAL (南国の小径)~Spanish Version
- 02.
- SIEMPRE EN MI (TENDERLY)いつも私の中に ~Spanish Version
- 03.
- VE TE DE MI (私から立ち去って) Spanish Version -
- 04.
- AMIGOS (二人は友達) -Spanish Version *Duet with Omara Portuondo
- 05.
- ELLY MI AMOR (いとしのエリー)~Spanish Version
- 06.
- COMO YO TE AME(どんなに愛していたことか)~Spanish Version~
- 07.
- GRITO DE VERDAD~MINORITY PRIDE(真実を叫ぶ~それぞれの存在) ~Spanish Version
- 08.
- SABOR A MI (わたし好みの情感) ~Spanish Version
- 09.
- DELIRIO (愛に狂わされて)-Spanish Version
- 10.
- LA MENTIRA(いつわり)~Spanish Version~*1st.Part1965 2nd.Part2012
- 11.
- 今愛が終わる(COMO YO TE AME) -Japanese Version
- 12.
- THE FIRST STAR(上を向いて歩こう) ~English Version
- 13.
- PEOPLE -Japanese Version
- 14.
- それぞれの存在(Minority Pride) Japanese Version
- 15.
- AMIGOS(二人は友達) -Japanese&Spanish Version *Duet with Omara Portuondo
かつてエキセントリックさを熱くアピールした百戦錬磨のラテン・シンガーは、いつしか自然体のクールな 官能のスタイルへと舵を切り、新たに生まれ変わっていた。歌手生活60余年。その類稀なショーマンシップで 培われた表現力と幅広いレパートリー、つねに多彩なサウンドを求めてやまぬ感性のみずみずしさは、敬服に 値する。さらに、奥山勝によるプロデュースと、日本、キューバ、ブラジルのトップミュージシャンの見事な サポートで YOSHIRO 広石のメッセージと魅力が120%引き出されている。 長年ラテン世界を駆け回り、ショービズ界の裏表を見届けながら喝来を浴びてきた、つわものが辿り着いた 境地、心に染みる歌声をじっくりご堪能いただきたい。
佐藤由美
YOSHIRO広石の4年ぶりの新作。2009年の「愛の音」以来熟成させてきた歌は、年代物のラムのように深みを増す。編曲も演奏も超一流。この極上のセンスと質の高さは、今や、レコードビジネス現場には存在しえない。ラスベガスか、ラ米大都市の高級ホテルのショーの現場にしかない職人芸だ。そのサウンドに付き添われ。時代、人種、民族、世代、性差を超えて人の心を揺さぶる親密な歌が紡がれる。魂をのせたその波動が、ささやきのごとくリスナーに届く。大詰め「そのれぞれの存在」ではゾクッと凄みさえ覚えた。オマーラとの二重唱が、アンコールのように聴く者の心を和ませる。
石橋 純
YOSHIRO広石 / FLORECRERAN ~花は咲く
2015年
- 01.
- Florecran ~花は咲く~ [スペイン語]
- 02.
- Contigo En La Distancia ~遠く離れて~ [スペイン語]
- 03.
- Eu Sei Que Vou Te Amar ~あなたを愛してしまうでしょう~ [ポルトガル語]
- 04.
- Cuando Vuelva A Tu Lado ~あなたのそばに戻る時~ [スペイン語]
- 05.
- 灯りを消して(ESTA TRADE VI LLOVER ~Voy A Apagar La Luz~ [日本語]
- 06.
- Moonlight Serenade ~Un Sonho De Verao~ 夏の夢 ~ [ポルトガル/語]
- 07.
- 遠く離れて ~Contigo En La Distancia~ [日本語]
- 08.
- あなたを愛してしまうでしょう ~Eu Sei Que Vou Te Amar~ [日本語]
- 09.
- Voy A Apagar La Luz ~灯りを消して~ [スペイン語]
- 10.
- Matame A Besos ~キスで殺して~ [スペイン語]
- 11.
- 悲しいけれど ~Como~ [日本語]
さてこの度、2年ぶりに私のニューCD FLORECRERAN ~花は咲く が一般発売になりましたのでご報告申し上げます。 東日本大震災4年が過ぎても、未だ終わらない復興を知るにつけ、歌はどんな役に立つのだろう、と考えました。 NHKのテレビから流れる復興ソングを聞きながら、ふとこの曲をスペイン語で、しかも誰も歌っていないスタイルで歌い、 世界に向けて発信したいという思いに至りました。嬉しいことに海外のラジオからも流れて、好評をいただいております。 この曲の他にも、これまでのラテンの枠からでて、ジャズ、ブラジリアンな味を加えました。 歌手生活60年を迎えようとしている今、ありのままの自分の心と向き合って歌いました。
YOSHIRO広石 / 「UNO ~人とは~」
2013年
- 01.
- HASTA QUE TE CONSI(君に出会うまでは)
- 02.
- CU-CU-RRU-CU-CU-PALOMA(鳩に生まれ変わった男)
- 03.
- UNO(人とは)
- 04.
- SMILE
- 05.
- 夕暮れの雨(ESTA TRADE VI LLOVER)
- 06.
- 私の最後の歌(MI ULTIMA CANCION)
- 07.
- MISTY
- 08.
- ESTA TRADE VI LLOVER(夕暮れの雨)
- 09.
- MI ULTIMA CANCION(私の最後の歌)
- 10.
- EL RELOJ
- 11.
- それぞれの存在
- 12.
- YO VIVIRE(生きる)
- 13.
- LA METIRA(いつわり)
文1)当アルバムの初期に発売された中に楽曲アレンジャーの間違いがありました。正しくは曲1の君に出会うまでは Hitoshi Aikawa 表記もれの曲11それぞれの存在Masaru Okuyamaです。次の正誤表をご参照下さい。なお現在は正誤表を入れて発売致しています。お知らせとお詫びを申し上げます。
< 正誤表>
Arrangement
×
Hitoshi Aikawa(4,13)
Masaru Okuyama(1,2,3,5,6,8,9,10,14,12)
◎
Hitoshi Aikawa(1,4,13)
Masaru Okuyama(2,3,5,6,8,9,10,11,12)
DML-130520
YOSHIRO広石 / 「愛の音」
2009年
- 01.
- 後ろ姿
- 02.
- 愛の音
- 03.
- Soy lo prohibido(禁じられた存在)
- 04.
- 禁じられた存在(Soy lo prohibido)
- 05.
- Come es posible(愛の奇跡)フューチャリング:Omara Portuondo
- 06.
- Gracias ありがとう 【日本語】
- 07.
- Gracias ありがとう 【スペイン語】
- 08.
- Mujer Hispana(ヒスパニックウーマン)
- 09.
- 私の情感(Sabor a mi)
- 10.
- Sabor a mi
- 11.
- Besame mucho
- 12.
- Amor Caribe (カリブの恋)
- 13.
- 悲しいけれど(Como)
- 14.
- Como【スペイン語】
01.後ろ姿 |
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13.悲しいけれど(Como) |
アルバムディスクレビュー
石橋 純(LATINA)
ライブでいつも珠玉のボレロを聴かせてくれるYOSHIRO広石。新作は、待望のボレロ集だ。選曲・編集・演奏・歌唱そして歌詞も、すばらしい。ボレロは歌うというより「語る」というべき世界だ。だからスペイン語を自分の言葉として身体化している者だけが、まっとうに語ることができるスペイン語を自分の言葉として歌うことにかけては、現役日本人歌手のなかで、YOSHIROの右にでるものはいないと私は思っている。ライブでYOSHIROは、ときに自作日本語を織り交ぜることがある。そうした試みの成果だろう。当作品のなかでYOSHIROは、日本語版とスペイン語版両方を収録した楽曲を3曲も用意している。日本語版は円熟した大人の男のボレロなのだが、同じ曲がスペイン語で聴くと性差や年齢を 超越した究極に親密なボレロにしあがっている。YOSHIROの声のかすかなゆらぎとともに、私たちの心も、静かに、聴くほどに深く揺り動かされる。